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New Single「38th Single」

2012年2月23日

すぐに!Ken's Bar 2011!

 19s 予告LIVE REPORT特設サイト

















平井堅の「Ken's Bar」とは大変にスペシャルな公演である。例外的に全国ツアーが組まれた過去もあるが、それは文字通り例外であって、このコンセプト・ライブは七夕と年末のクリスマス・シーズンにそれぞれ1公演行われるのが基本。どんなキャパの会場であっても、チケットがあっという間に売り切れてしまう平井のライブがたったの1公演開催なのだから、そのことだけでも十分にスペシャルであるというわけで、そしてもうひとつ。「Ken's Bar」は各地で展開されているということも大きなポイントである。年末に行われた過去5回でいうなら、2006年は名古屋、2007年は札幌、2008年は横浜、2009年は埼玉、そして2011年は博多での開催だった。1公演のみのスペシャルとなれば、とかく東京中心にブッキングされるパターンが圧倒的に多い音楽シーンではあるが、そこに「Ken's Bar」は当てはまらない。だから、この点においても「Ken's Bar」はスペシャルということになる。

しかしいうまでもなく、このライブをスペシャルなものにしている最大の要因はコンセプトであり内容そのもの。アコースティック形式のシンプルな演奏をバックに平井が歌う「Ken's Bar」は通常のバンド編成、すなわちCD化された楽曲のアレンジとは大きく異なるものであり、また、オリジナル曲だけでなく、カバー曲もメニューに加えられる。「Ken's Bar」最新公演は昨年12月25日、クリスマス当日に福岡マリンメッセで行われたのだが、そこでは山下達郎の「クリスマス・イブ」、マライア・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」というクリスマスならではの楽曲が披露された。ただし、カバー曲の選曲基準は時季的なこと以上に、平井自身が大好きな、決してマニアックなものではない有名なポップ・ソングということであって、先に挙げた2曲以外では、山口百恵の「ロックンロール・ウィドウ」、尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」、ルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」を採り上げ、どのカバー曲も平井は心底楽しんで歌っていた。あえて述べる必要のない野暮なことだが、この人の歌のうまさは絶品である。ただし、カバー曲であろうとオリジナル曲であろうと、平井は技術自慢をしたいがために歌っているのではない。とにかく歌うことがたまらなく好きで、その強い思いはいつだって歌声に乗っている。つまり、歌のうまさも各楽曲の歌詞やアレンジも、歌うことに対する平井の思いがすぐれたものへと昇華させているのである。しかも「Ken's Bar」は演奏がシンプルであるということに加え、通常のライブにある派手な演出や仕掛けがないため、平井の歌いっぷりがどのようなものなのかがより露わとなる。だから、やっぱり「Ken's Bar」はスペシャルなのだ。

昨年末に行われたこの福岡公演は「平井堅 Ken's Bar 2011」と題され、2月26日(日)夜9:00からWOWOWにて独占放送される。カバー曲以外に「瞳をとじて」「POP STAR」「いとしき日々よ」といった平井のヒット曲が数多く披露されたライブでもあったので、より多くの人たちが楽しめるプログラムとなることは必至。ポップ・スターによるポップ・ソング満載のライブということである。
(文・島田諭)